屋根は軽いほうがいい

地震に備える

日本に住む限り、地震に備えなくちゃいけないなって思います。
上の図は、東北の震災の後
東京大学のロバート・ゲラー教授が当時発表された地震のリアリティチェック図です
一般的に地震発生のリスクが高いされている地域
ではない地域で大地震が発生していることがわかります

今年は島根県でも大きな地震がありました
たくさんの巨大地震を経験した当事者として
熊本地震発生後の激震地視察から思ったこと
綴らせていただいています

「瓦屋根の家がたくさん壊れているな」

震度7が2回
その後も続く余震
当事者の皆様の状況お察しすることも出来ませんが
当事者ではないわれわれも
巨大地震に備える
心構えを改めなければいけない
そう思ったところです

ニュースや映像などからうけた第一印象
「瓦屋根の家がたくさん壊れているな」ってこと

阪神・淡路大震災から21年
能登での地震
東日本大震災
そして今回の熊本地震

古い瓦屋根の家の倒壊が目立ちますし、
倒壊でないにしても屋根が破損しブルーシートがかけられた家を多く見かけます。

今回熊本城の屋根瓦の崩落に関連して
「地震時に瓦が崩落することによって躯体にかかる力が軽減される。そのために瓦の固定をあえてあまくしているのだ。」
という設計手法の紹介がみられます。

それとは別に大地震時の瓦屋根のもろさについて
「崩壊した建物は、耐震性の弱い古い建物だからであって、瓦屋根だから壊れたわけではない。現在の耐震基準に沿ってそれなりに耐震性の確保された家であれば、瓦が重くても一枚一枚しっかり固定しておけば問題ない」
って主張もみられます。

今回このコラムを書こうと思ったのは、阪神淡路大震災のウィキペディアの項目に
【「構造的に問題のある建築に瓦屋根のものが多かった」にもかかわらず、一般的には「瓦が重いから問題」であると誤解されている】
という一文を見つけたからです。

建築の専門家としてはっきりと申し上げておきます。
「瓦は重いから問題なのです」

熊本城の瓦屋根が地震がきたら瓦が落ちる想定だったというのは、
「屋根は軽いほうがいい」って知ってたからです。
まあ、瓦落ちてきたとき下に人がいたら大変なんで、瓦が落っこちてくる方法をすすめるわけにもいきません。

基本的に瓦をのせるのであれば、しっかりと固定する方法を選択するしかないでしょう
そのためには瓦の下にある家そのものの耐震性を上げてやるしかないのです。

「躯体の耐震性をあげれば瓦屋根でも耐震上問題ない」というのは問題あります。
単純にいって
「屋根より下の耐震性能が同じ建物であれば、
屋根はより軽いほうがトータルの耐震性能はよくなります」

「瓦という重い屋根を選択した以上、
躯体の耐震性はしっかりと確保するしかない」というのが現実なのです。

住宅の躯体が木造であるというもとでは、
「いくら躯体の耐震性能をあげても、瓦屋根というのは重すぎるのではないか」

「瓦屋根の限界」がみせられているような気がしてなりません。
その疑問、実際に自分の目で確認してこようと思いました

激震地を視察して


交通状況等回復してきて入るものの
益城町をはじめとする激震地は、いまだ地震の傷跡がたくさん残っていました
一日も早い復興を願うとともに
当事者ではないわれわれも
巨大地震に備えるための教訓としたいと思いながら
視察させていただきました

たくさんの壊れている家を目にしました。

ニュース等でみていたことではありますが、
やはり瓦屋根の崩落、そしてその建物の倒壊といった状況が
あちこちで見うけられました

建物が地震で壊れる状況を絵にしてみました。

今更アタリマエのことをと思われるかもしれませんが
1.基礎から地震が伝わり
2.建物が大きく揺れます(屋根が一番ゆれます)→とめ方のゆるい屋根材はずれ落ちます
3.揺れによって建物の下の部分に大きな破壊力が生じます→下の方の階から倒壊します

現地でみた被害状況を単純に説明するとこうなります。

じゃあ
耐震改修等で、地震に強い家にするためにはどうすればいいのか

A1 軽い屋根材に葺き替えて、しっかりと固定すること
A2 壁を丈夫にすること(特に1階の壁を丈夫にすることが重要です)

結局この2つの方法にたどり着きます

視察前に書いていたとおり
今回の自分なりのテーマは「瓦屋根の限界」だったのですが
見て帰っての率直な感想をイメージにまとめました。

地震に強い家にしようと思ったとき
やはり「瓦は重すぎます」

「振り落として下の建物への影響を軽減する」
なんて方法は手前勝手すぎてとても提案できませんし

瓦をしっかりと固定して屋根の上にとどめておく以上は
それはハンデキャップ以外の何物でもありません

瓦屋根の家でも崩落もなく倒壊もしなかったというニュースも見かけます
「屋根が重いのは弱点である」というハンデキャップを乗り越えられる
丈夫な壁の家をつくっていたのでしょう
「瓦屋根の家だって耐震性のある家は建てられる」ってことは承知しています

でも
これから家を復旧するのであれば
建てるのであれば
耐震改修をするのであれば

あえてハンデキャップを背負う必要があるのでしょうか

耐震改修のまず一番の肝は
「屋根の軽量化」です

あらためて再認識させられた視察となりました

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