「ジャイアンvsのび太100人」
次のド◯えもん映画はこれで決まりだねってことで(笑)。
先日、お客様からこんな質問をいただきました。「ジョウダイさんの設計って家のコーナーに窓がレイアウトされてますけど、これって何か意味があってのことなんですか?」
実はこれには3つの理由があります。
1.コーナー窓ってかっこいいこと
2.コーナーに窓をレイアウトすると明るい部屋になり、太陽の恩恵を受けやすいこと
3.バランスの良い耐震性能を確保できること
なんですが、北欧デザインのアアルトもコーナーに窓をレイアウトしている家をたくさん設計しています。
アアルトの自邸の設計スペースもコーナー窓のレイアウトされた見晴らしのいい一角でした。うちと一緒だと思ったミーハーこげんぱなのでありました。
で、本日のお話は3のバランスの良い耐震性能を確保できること。これが「ジャイアンvsのび太100人」どっちが強いんだってお話になるわけなんです。
地震大国日本
真面目な話、日本は地震大国です。地元島根でも1年半ほど前に大きな地震がありましたし、熊本、新潟、東日本、阪神淡路、震災と呼ばれる大地震を経験して
・屋根は軽いほうがいい(百年の家プロジェクトでは瓦を降ろそうキャンペーンやってますよね)
・面材をつかったほうがいい
・通し柱は通さないほうがいい
などなどいろいろな気づきがあったんですが
・ホールダウン金物の使い方には注意が必要だ
というのが今回の「ジャイアンvsのび太100人」のお話になります。
ジャイアンとのび太がケンカしたらどっちが強いと思う?
「ジャイアンとのび太がケンカしたらどっちが強いと思う?」って聞いたら大概の人が「
そりゃジャイアンだろ」って答えると思いますし、まあそうだよなって思います。
でも「ジャイアン1人とのび太100人がケンカしたらどっちが強いと思う」って聞いたら
「まあ100人もいたらのび太かもしれないね」ってなるんじゃないでしょうか!これです。
家の耐震性能というのは評価制度があって耐震等級というもので、その強さが評価されます。
法律上の必要最低限の耐震性能を備えたものが等級1、その25%増で強くなったものが等級2、50%増が等級3といった具合なんですが、
熊本の益城町では耐震等級2で設計された建物が崩壊してしまっていたのです。
震度6クラスの地震が2度も続けてきたらしょうがないよって言ってもらえればいいんですが、
家守りとしては今後は耐震等級3を基本に設計するのが賢明だなとなるわけです。
耐震等級3を標準にしようと思うと、いつもよりもたくさんの耐力壁とよばれる強い壁を作る必要があります。
耐力壁とホールダウン金物について
耐力壁というのは、骨組みと一体になってしっかりふんばってくれるように法律で定められた金物でつないであげる必要があります。
このつないであげる金物の中で一番強いやつがホールダウン金物です。そうこの回のお話の中ではホールダウン金物がジャイアンです。
そんでもって小さな力持ち釘がのび太くんということになります。
建物のコーナーに耐力壁を配置するのが一般的には良しとされています。
そしてその場合には強い金物ジャイアンをセットしてねというのがルールとなっているわけです。ジャイアンがひとりで地震に立ち向かう。
がんばれジャイアン!みんなのために頑張ってくれってわけです。
でもひとりで耐えられるうちはそれでいいんですが、先の熊本の地震ではそのジャイアンが耐えられなかった結果、
耐震等級2の建物であっても倒壊した事例が確認されているのではないでしょうか。
東日本大震災のときにも大きな金物が引き抜かれた被災状況が確認されていました。
「ジャイアン一人で頑張らないでよ、僕も手伝うから」、そうのび太くんが言ったかどうかはわかりませんが、
コーナーに窓を配置するとそこに耐力壁はありません。したがってジャイアンもいなくなります。
そのかわりにあちこちにたくさんののび太くんを配置することになるのです。
東日本大震災から学ぶこと
ルラクホームでは東日本大震災以降、コーナーに窓を配置するレイアウトを標準化してきました。
ジャイアンからのび太くん100人へのシフトを図るためのファーストステップでした。
ジャイアンを全否定しているわけではありません。ジャイアンが100人配置できたらそれが一番強いんじゃないかって話もあるわけですが、
コストとか必要と思われる耐震性能を確保するにあたってのび太くん100人がベターと計算したわけです。
設計を工夫することによって、バランス良くのび太くん100人を配置できれば耐震等級3を確保できる。
なんか素敵だと思いませんか。小さな力をよせあつめれば大きな地震にだって耐えうる強い力になり得るんだから。