東日本大震災から11年目の節目をすぎた先日、東北でまた大きな地震が発生しましたね。
被災された皆様にはお悔やみを申し上げるとともに、一日も早い復興を願うばかりです。
地震のたびに繰り返し見られる風景、今回は、僕が「瓦を下ろそう」と唱える3つの理由というテーマでお届けいたします。
1.瓦屋根は重たいので
大地震を経験する度に繰り返しみられる風景、この度の地震でも瓦屋根の家屋が倒壊している風景がニュースで紹介されていました。
紹介している写真は、熊本地震のときに現地で撮影させていただいたものですが、
11年前の東日本大震災のときも被害件数でいえば瓦屋根の損壊数が突出して多かった(数だけでいえばぶっちぎりの多さでした)。
大地震のとき瓦が損壊するのはもはや必然ではないのかと思ってしまうほどなのですが、
なぜかといえばごく単純な話で、瓦屋根が重たいからなんです。
新築するときに家の耐震性能をどうしようかなと設計します。
耐震改修リフォームをするときには耐震診断をしたりするんですが、そのときに屋根が重たいか軽いかというのは、
地震に強い建物にするための非常に大きな判断材料となります。
耐震等級という地震に対するその家の強さを表す指標があります。
法基準はなんとかクリアしてますよって強さが、星1つ。その壁の強さ25%増量って感じで星2つ、
50%増量すると星3つとなるって感じです。厳密には壁以外のこともあれこれ検討するんでもっと深いんですけどね
星が多いほど地震に強い証しとなるわけですが、屋根が重いか軽いかでこの指標も大きく変わります。
たとえば瓦屋根の家で星ひとつの耐震等級の強さの家があったとします
。その瓦を下ろして軽い屋根にすると星1つ分グレードアップできますよってくらいのイメージなんです。
それくらい屋根の重さっていうのは強烈な個性なんですよね。
2.瓦は落ちるので
熊本地震のときに熊本城の瓦屋根が落ちました。
屋根に重たい瓦が載っていると耐震上不利になります。
熊本城の構造は、大地震にあったとき瓦が落ちて屋根自体が自動的に軽くなる仕組みだったんじゃないかってコラムがあって、
なるほどなぁと思いながらでもそりゃまずいじゃんと思いました。
だって降ったり飛ばされた瓦が他所に被害出しちゃったらいやですもんね。
実際、東日本大震災のときのとんでもない数の瓦被害の大半は、建物本体は大丈夫だったけど、
瓦があちこちずれちゃったり、滑落したりしちゃったものだったんです。
これって大地震時はもちろん、台風や竜巻に遭遇したときにも落っこちちゃったりします。
誰も居ないところに落ちてくれればいいんですが、
竜巻のとき瓦が木の葉のように舞ってそのあと木の葉のように降ってきたって話を聞いたときはゾッとしたものです。
最近の瓦施工は、法改正もあり、屋根下地にしっかりとくっつけておくように
指導されてはいるのですが、それでも不安はぬぐいされません。
特に古くからある家は、瓦は屋根下地への固定がゆるいケースがほとんどですってのが現状だと思います。
ゆるくとめてあるから落っこちるんです。
落っこちてくれれば、屋根自体は軽くなるかもしれませんが、
地震や台風で落っこちる瓦の施工なんてとてもおすすめできるものではありませんよね。
3.壊れたときこそ屋根替えの最大のチャンスだから
大地震に被災することは悲しいことです。できれば遭遇したくない。
ですが、地震の多い日本で家を建てる限り、大地震に遭遇する可能性をゼロにすることはできません。
繰り返しになりますが、屋根が重たいということは、耐震性能上はデメリットでしかないのです。
地震の度にずれたり落っこちたりしまったりしないようにするためには、
固定方法の見直しで対処することも可能なんですが、重さだけはどうにもなりませんよね。
結果、重さに耐えられるだけ壁などを強くするしかないんですが、
重たい屋根に耐えられる設計をした家の屋根を軽くすれば、更に地震に強い家にできるんですけどね。
そうならないみたいで、大地震の度に繰り返しみられるブルーシートのかかった家々の風景って...
火災保険や地震保険にかかってるんだからその都度治せばいいという考え方もあるのかもしれませんが、
そういった保険があればなおさら、壊れたときこそ屋根替えの最大のチャンスとも言えます。
もとどおりにしましょうではなく、更に耐震性能を向上させる方法があるんだってことをもっと皆さんに知ってほしい。
強くそう思う。大地震の度に繰り返しみられるブルーシートのかかった家々の風景をみながらそう思うのでありました。
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